【安全保障コラム】「台湾有事は日本有事」

 

危機管理・台湾有事関連コラム

台湾有事では、日本が防衛行動をとることにより中国に“交戦国”と認識され、中国に滞在する日本人や日本企業が不利益を被る可能性も。

・中国が台湾に侵攻しようとした場合、米軍の行動が中国侵攻の成否のカギを握ります。

・そのため中国軍は、米軍を台湾島やその周辺地域に近づけさせないような戦略を採り、そのための戦力を増強してきました。その戦略は接近阻止・領域拒否(A2/AD:Anti-Access/Area Denial)戦略と呼ばれるものであり、米海軍の中核戦力である空母打撃群が苦手とする超高速対艦ミサイルなどを現在も整備し続けています。

・下の地図をご覧ください。台湾島の東には米軍も駐留する沖縄や佐世保、横須賀、グアムなどがありますが、中国軍は主に東からやってくる米軍を台湾島に近づけさせない、近づくことを躊躇させることを目指しています。この中国の戦略において日本の与那国島や石垣島、宮古島といった南西諸島は非常に大きな価値をもちます。軍事作戦上、東からの米軍の近接を有効に阻止するのに適した位置にあるからです。

・また、米軍の戦力を削ぐため中国軍による沖縄の米軍基地へのミサイルなどによる直接的な攻撃も考えられます。

・台湾有事に際しては、自衛隊法や日米安全保障条約などに基づき、邦人保護、我が国防衛、シーレーン防衛、米軍支援などのために自衛隊がいろいろな行動をとることが考えられます。中国軍との交戦の可能性もあるでしょう。

・中国と台湾の紛争だからといって、中国本土と台湾島の間のみの地域で作戦が行われるわけではなく、少なくともバシー海峡や日本の西南地域を含めた地域が含まれることになるでしょう。日本に関係する海上輸送の多くはバシー海峡を経由しますが、食料、エネルギーを含めた輸出入にも多大な影響があるでしょう。そういった意味からも台湾有事は日本にとって決して他人事でなく、まさに「台湾有事は日本有事」といえると思います。(了)