【海外安全 危機管理ニュース】中国でスパイ容疑で拘束された邦人、7月16日に判決

邦人等拘束リスク

ニュース:

・中国で、いわゆる反スパイ法違反容疑で、おととし3月に拘束された日系製薬会社社員の判決が7月16日に言い渡されることになりました。

・社員は北京で国家安全当局に拘束されたあと、去年起訴され11月には初公判が行われました。初公判は非公開、判決は日本外務省職員の傍聴が許可されるとのことです。

コメント:

・中国においては、中華人民共和国反間諜法、いわゆる「反スパイ法」により現地において邦人が拘束される事案が発生しています。

・反スパイ法は2014年に制定されましたが、2023年7月に改訂されスパイ行為の定義が拡大されたところです。

・日本国外務省海外安全ホームページにおいても注意喚起されていますが、スパイ行為の定義が極めて広くなり、「(同法に)列挙されているもの以外にも様々な行動が幅広くスパイ行為とみなされたり、当局によって不透明かつ予見不可能な形で解釈される可能性があります。」

・「国家の安全と利益に関わる文書、データ」を所持しているだけで対象となりますので、日常の行動、例えば中国を非難する内容が含まれる新聞や雑誌を持ち歩く、などにも気を付ける必要があります。

・中国は、民主主義国にある三権分立といったシステムではなく、共産党が司法機能の上に位置します。そういった意味からも一度共産党の機関である公安に容疑を掛けられてしまうと、たとえ無実であっても裁判でくつがえすことは困難であると思われます。

・弊社では、駐在社員、ご家族様、出張者の拘束リスクを低減する対策なども提案いたします。(了)

〈参考〉

反スパイ法第4条において定められたスパイ行為

・スパイ組織及びその代理人が実施する、若しくは他人に指示、資金援助して実施する、又は国内外の機構、組織、個人がそれと互いに結託して実施する、中華人民共和国の国家安全に危害を及ぼす活動。

・スパイ組織に参加する、若しくはスパイ組織及びその代理人の任務を引き受けること、又はスパイ組織及びその代理人に頼ること。

・スパイ組織及びその代理人以外のその他の国外の機構、組織、個人が実施する、若しくは他人に指示、資金援助して実施する、又は国内の機構、組織、個人がそれと互いに結託して実施する、国家秘密、インテリジェンス及びその他国家の安全と利益に関わる文書、データ、資料、物品の窃取、偵察、買収、不法提供、又は国家の職員を策動、誘惑、脅迫、買収し、裏切るようにさせる活動。

・敵に攻撃目標を指示すること。

・その他のスパイ活動を行うこと。